こんにちは。Tradivanceです。
不動産管理会社の皆さま、人手不足のなかで業務範囲が広がり続け、属人化や手作業の限界を感じていらっしゃいませんか。
特に「どの賃貸管理システムが自社に合うのか」「Excel管理から本当に移行する必要があるのか」「物件ごとに違う事情を反映できるのか」といった疑問を抱えている方は多いと思います。
賃貸住宅管理業法の施行、インボイス制度、電子帳簿保存法など、業界を取り巻く法改正への対応も、もはや避けて通れない経営テーマになっています。
一方で、汎用パッケージを導入すれば全ての課題が解決するわけではなく、自社の物件特性や業務フローにどう合わせるかが分かれ目になると考えています。
だからこそ本記事では、賃貸管理システムの基本機能から3タイプ別の特徴、選定で押さえるべき比較ポイント、そして汎用SaaSがフィットしない場合の第4の選択肢までを整理して解説していきたいと思います。
本記事で得られる情報・解決する悩み
- 賃貸管理システムの3タイプの違いと自社に合う判断軸
- 選定で押さえるべき6つの比較ポイントと導入チェックリスト
- Google WorkspaceとExcelで構成する第4の選択肢
賃貸管理システムとは
賃貸管理システムとは|業務範囲と導入背景
賃貸管理システムとは、入居者の募集から契約管理、家賃の入出金、退去対応、オーナーへの送金・報告までを一元的に管理するソフトウェアです。
物件マスタや入居者情報、契約書類、入出金履歴などを一つの基盤で扱うことで、複数の担当者や拠点が同じ情報を参照しながら業務を進められるようになります。
紙台帳やExcelファイルで分散していた情報を統合し、現場の負荷とミスを減らす役割を担うのが、賃貸管理システムの本質的な存在意義といえます。
賃貸住宅管理業とは、賃貸住宅の維持保全に関する業務、および家賃・敷金・共益費その他の金銭の管理を行う業務を指すと、賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)で定義されています。
不動産管理会社で導入が進む背景
近年、不動産管理会社の現場では1社あたりの管理戸数が増え続け、業務範囲も拡大の一途をたどっています。
人手不足や担当者への業務集中が深刻になる中で、業務の標準化と効率化を支える基盤として、賃貸管理システムへの注目が高まってきました。
加えて、賃貸住宅管理業法の施行や電子帳簿保存法、インボイス制度といった法改正への対応も、システム導入を検討する大きな後押しになっています。
賃貸管理ソフトとの関係
「賃貸管理ソフト」と「賃貸管理システム」は、現場ではほぼ同じ意味で使われている言葉です。
以前は自社サーバーにインストールするオンプレミス型のソフトが主流でしたが、近年はクラウド型のシステムへと移行する流れが加速しています。
主な機能
賃貸管理システムの主な機能

物件・入居者・オーナー情報の一元管理
物件・入居者・オーナー情報の一元管理は、賃貸管理システムの中核となる機能です。
物件マスタ、入居者の属性情報、オーナー情報、契約条件などを一つのデータベースに集約することで、担当者ごとの台帳が分かれてしまう状況や、検索の手間を解消できます。
複数拠点や複数担当者で同じ情報を参照する体制を整えやすく、属人化のリスクを下げる効果も期待できます。
契約管理(締結・更新・解約)
契約管理機能は、賃貸借契約の締結から更新通知、解約手続き、原状回復精算までの一連の業務を、システム上で扱えるようにする仕組みです。
契約期限の自動アラートや更新書類の一括作成、敷金精算の自動計算といった機能を備えた製品が一般的になってきています。
更新漏れや書類の作り直しといったミスを減らし、書類管理の正確性とスピードを両立する効果が期待できます。
入出金管理(家賃・共益費・消込)
家賃や共益費の請求書作成、口座振替データの取り込み、入金消込、滞納の督促までを扱うのが、入出金管理機能です。銀行APIや回収代行サービスと連携できる製品では、入金情報の取り込みから消込までを自動化できる場合もあります。
未収金の見える化と督促業務の効率化が、結果としてキャッシュフローの安定にも寄与する重要な機能です。
修繕・クレーム管理
修繕・クレーム管理機能は、入居者からの問い合わせや設備不具合の連絡、修繕業者への発注、対応履歴の記録を体系化する仕組みです。対応状況や履歴を全担当者で共有できるため、担当変更や引継ぎ時の情報ロスを減らせます。
オーナー側への報告にもそのまま使える形でデータが残るため、二重入力の手間を減らせる点も特長の一つです。
オーナー送金・報告書作成
家賃から管理手数料や修繕費を差し引いたうえでオーナーに送金し、収支報告書(マンスリーレポート)を作成する業務を支援する機能です。
収支計算や送金明細を自動生成できるため、毎月の締め作業にかかる時間を大きく短縮できます。
オーナーの満足度に直結する重要な業務であり、賃貸管理システムを選ぶ際の優先機能として位置づける管理会社も少なくありません。
賃貸管理システムが提供する5つの主な機能
- 物件・入居者・オーナー情報の一元管理
- 契約管理(締結・更新・解約)
- 入出金管理(家賃・共益費・消込)
- 修繕・クレーム管理
- オーナー送金・報告書作成
導入メリット
賃貸管理システム導入の5つのメリット

賃貸管理システムを導入することで、現場のオペレーションと経営の双方にどのような変化が生まれるのか、5つのメリットに分けて整理します。
業務効率化と工数削減
賃貸管理システムを導入する最大のメリットは、転記作業や書類作成といった定型業務の自動化による工数削減です。
家賃データの取り込みや契約書の自動作成、検索の即時化などにより、担当者がより付加価値の高い業務に時間を振り向けやすくなります。
属人化の解消
特定の担当者しか把握していない業務やExcelファイルがある状態は、退職や異動のたびに業務が止まってしまうリスクを抱えています。
システム上に手順とデータを集約することで、誰が見ても業務の流れを追える状態を作れる点も、賃貸管理システムの大きな価値の一つです。
ミス・トラブルの防止
人手による転記や計算は、どれほど慎重に進めても、ヒューマンエラーをゼロにすることが難しい性質を持っています。
契約期限のアラートや入金消込の自動照合といった機能を活用することで、更新漏れや消込ミスなどのトラブルを未然に防げる確率を高められます。
インボイス・電帳法など法改正への対応
2023年10月に開始されたインボイス制度(国税庁)や、2024年1月から本格運用が始まった電子帳簿保存法は、賃貸管理の現場にも直接影響する制度変更です。
賃貸管理システム側でこれらの法改正に対応していれば、適格請求書の発行や電子取引データの保存などを安心して進められます。
法改正のたびに自社のExcel運用を作り直す負担を減らせる点も、システム導入の隠れたメリットといえます。
顧客満足度の向上
賃貸管理システムの活用は、入居者対応の迅速化やオーナーへの報告の透明性向上にもつながります。
問い合わせ履歴の即時参照や、オーナー向け収支報告の精度とスピードの改善によって、結果として顧客満足度が高まる傾向があります。
3タイプの特徴
賃貸管理システムの3つのタイプと特徴

賃貸管理システムは多くの製品が市場に存在しますが、業界全体を俯瞰すると、業務範囲と想定規模の違いから大きく3つのタイプに分類できます。
ここでは各タイプの特徴と料金感、自社に合うかどうかの判断軸を整理していきます。
| タイプ | 想定規模 | 業務範囲 | 料金感 | 選ぶ判断軸 |
|---|---|---|---|---|
| 仲介・賃貸管理一体型 | 中堅〜大手(1,000戸超) | 募集から管理まで自社完結 | 月額数万円〜十数万円 | 仲介も自社で行う |
| 賃貸管理特化型 | 中堅 | 管理特化(仲介は外部) | 月額数万円〜十数万円 | 仲介と管理の分業体制 |
| 中小向けスモール型 | 中小(100〜500戸) | 基本機能に絞る | 低価格帯(数千円〜) | 初期投資を抑えたい |
タイプ1:仲介・賃貸管理一体型
仲介・賃貸管理一体型は、入居者募集(仲介業務)から契約管理・家賃管理・退去対応までを、ひとつのシステム内で完結させるタイプです。
管理戸数が1,000戸を超えるような中堅から大手の管理会社や、自社で仲介ネットワークを抱える事業者で多く選ばれている傾向があります。
ポータルサイトへの物件掲載やWeb申込、電子契約まで含めて統合的に扱える点が、このタイプの大きな強みです。
クラウド型で月額数万円から十数万円規模の料金が一般的で、機能の充実度に応じてプランを選べる製品が多くなっています。
自社で仲介業務まで一気通貫で扱いたい、業務全体を一つのシステムに統合したいという方針をお持ちの会社に向いた選択肢です。
タイプ2:賃貸管理特化型
賃貸管理特化型は、仲介業務は別の仲介会社や外部ネットワークに任せ、自社では管理業務に集中するタイプの管理会社向けに設計されています。
契約管理・入出金管理・修繕対応・オーナー報告など、管理業務に必要な機能が深く作り込まれている点が特徴です。
規模感としては中堅クラスの管理会社で採用されることが多く、料金は一体型と同水準の月額数万円から十数万円規模となります。
仲介と管理の分業体制を取っており、すでに連携先の仲介ネットワークを持つ管理会社に向いた選択肢といえます。
タイプ3:中小向けスモール型
中小向けスモール型は、管理戸数100戸から500戸程度の中小規模事業者や、これから管理戸数を増やしていきたい事業者を主な対象としたタイプです。
契約管理や家賃管理など基本的な機能に絞り込み、シンプルな操作性と低価格を両立している製品が多くなっています。
料金は月額数千円から始められる製品もあり、初期投資を抑えながらシステム導入を進められる点が大きな魅力です。
初めて賃貸管理システムを導入する場合や、Excel管理からの最初のステップとして検討する場合に、有力な選択肢になります。
自社に合うタイプの判断フレーム
自社に合うタイプを見極める際は、次の3つの問いを順に確認すると整理しやすくなります。
仲介業務も自社で行うかどうか、管理戸数の規模はどの水準か、システムにかけられる予算はどれくらいか、の3つです。
この3問への答えをもとにタイプを絞り込み、その後で各タイプ内の比較ポイントを確認していく流れがおすすめです。
6つの比較ポイント
賃貸管理システム選定で押さえる6つの比較ポイント

クラウド型かオンプレミス型か
賃貸管理システムを選ぶ際に最初に分かれ道となるのが、クラウド型とオンプレミス型のどちらを採用するかです。
クラウド型は初期費用を抑えやすく、複数拠点での利用やテレワーク環境に適している一方、月額のランニングコストが継続的に発生します。
オンプレミス型は自社で運用管理する責任が大きい代わりに、機密性の高いデータを自社内で保持できる安心感や、長期利用でのコスト面のメリットが期待できる場合もあります。
インボイス・電子帳簿保存法への対応
2023年10月のインボイス制度開始と、2024年1月の電子帳簿保存法本格運用以降、これらへの対応有無は重要な選定ポイントになりました。
適格請求書発行事業者番号の管理や電子取引データの保存要件など、賃貸管理システム側でどこまで対応してくれるかを確認しておくことが望ましいです。
制度の最新情報は国税庁の公式ページで継続的に更新されているため、選定時には併せて参照することをおすすめします。
機能改善・アップデートの頻度
賃貸管理システムは長期間にわたって使い続ける性質の製品のため、機能改善やアップデートの頻度は見落とせない比較ポイントになります。
定期的にアップデートが行われている製品は、法改正対応や業務変化への追従が期待できます。
逆にアップデート頻度が極端に少ない製品は、現在の業務には合っていても、数年後の業務環境に対応できなくなる可能性があるため、注意が必要です。
既存システム・会計ソフトとの連携
賃貸管理システムは、既存の会計ソフトや銀行口座、保証会社のシステムなど、他のシステムと連携しながら使うのが一般的です。
自社で利用している会計ソフトとAPI連携できるか、銀行の入金データを自動で取り込めるかといった項目は、業務効率に直結します。
連携先のラインナップは製品ごとに差があるため、自社の既存システムとの相性を必ず事前に確認しておきましょう。
データ移行のしやすさ
既存のExcelやレガシーシステムから新しい賃貸管理システムへ移行する際の、データ移行のしやすさも重要な比較ポイントです。
物件情報や契約データ、オーナー情報などを一括で取り込めるインポート機能の有無や、ベンダー側の移行支援サービスの有無を確認しておきましょう。
移行作業はシステム導入プロジェクトのなかで最も負荷がかかる部分のため、ここをスムーズに乗り切れる体制があるかが、定着までのスピードを左右します。
サポート体制
最後に押さえておきたいのが、導入時のオンボーディングと運用後の問い合わせ対応を含む、ベンダーのサポート体制です。
導入時のトレーニングや個別設定の支援、運用フェーズでの電話・チャット対応、定期的な活用相談などは、現場の定着に大きく影響します。
現場の担当者が安心して使い続けられる環境を整える意味で、サポート体制の質と量は、料金や機能と同じくらい重視したいポイントです。
導入チェックリスト
賃貸管理システム導入を成功させるためのチェックリスト

最初のステップは、自社の管理戸数、物件タイプ、業務フロー、現在使っているExcelファイルや帳票類を文書化することです。
業務の全体像が見える状態を作ることで、後のシステム選定や移行計画の精度が大きく変わってきます。
棚卸しの結果をもとに、3タイプ(仲介一体型・特化型・スモール型)のうちどれが自社に合うかを判断します。
ここで2タイプ程度に絞り込んでおくと、製品候補を10数社の母集団から数社程度に整理しやすくなります。
次に、必須機能とあってもなくてもよい機能、そして自社では使わない機能を明確に分けます。
必須・任意・除外の3区分でリスト化しておくと、製品比較時に判断軸がぶれず、過剰機能や不足機能を見極めやすくなります。
絞り込んだ候補のなかから3社程度を選び、資料請求とデモを依頼します。
実際の画面を現場担当者と一緒に確認することで、カタログだけでは分からない操作性の違いを把握できます。
本契約の前に、限定された範囲で小規模なPoC(概念実証)を実施することをおすすめします。
数物件・数名のテストユーザーで実運用に近い形で試すことで、現場の使いやすさと業務適合を、本格導入前に確認できます。
最後に、データ移行スケジュールと現場担当者への教育計画を事前に立てておくことが重要です。
いつ、どのデータを、誰が移行するのか、また現場メンバーがいつまでに使い方を習得するのかを明確化しておくと、導入後の混乱を防ぎやすくなります。
FAQ
賃貸管理システムとは何ですか?
入居者の募集から契約・家賃管理・退去対応・オーナー報告までを一元的に管理するソフトウェアです。物件マスタや入金履歴などを一つの基盤で扱うことで、複数の担当者や拠点が同じ情報を参照しながら業務を進められます。
Excel管理から移行する必要はありますか?
必ずしも全面移行が必要というわけではなく、Excelを起点にした自動化という選択肢もあります。自社の業務範囲や物件特性、人員体制を踏まえて、賃貸管理SaaSとExcel起点自動化のどちらが現実的かを判断するのがおすすめです。
物件ごとに事情が違う場合はどう選べばよいですか?
標準化された業務はSaaSで効率化し、個別性の高い業務はGoogle WorkspaceとExcelの組み合わせで補完するアプローチが現実的です。両者のハイブリッドで、現場の事情に柔軟に対応できる構成を検討するとよいでしょう。
第4の選択肢
第4のタイプ:Google WorkspaceとExcelで構成する自動化の選択肢
ここまで、3タイプの賃貸管理システムについて整理してきました。
ただし、現場の実情をよく見ると、3タイプの枠組みだけでは満たしきれない領域があるのも事実です。ここからは、Google WorkspaceとExcelを組み合わせた第4のアプローチについて掘り下げていきます。
標準化されたSaaSが力を発揮する領域と、補完が必要になる場面
賃貸管理SaaSは、標準化された業務フローを前提に設計されているため、同型の物件が大量にあり業務手順を全社で揃えやすい管理会社で本来の力を発揮します。
物件数が増えるほどスケールメリットが効きやすく、契約管理から入金消込、オーナー報告までを一気通貫で効率化できる点は、他のアプローチには真似しにくい大きな強みです。
業務の標準化が進んでいる会社ほど、賃貸管理SaaSの恩恵を享受しやすい構造になっているといえます。
一方で、中堅PM(プロパティマネジメント)の現場や、物件ごとにオーナーの好み・帳票形式・契約条件が大きく異なる管理会社では、SaaSの標準機能の外側でExcelやWordによる補完が発生しているケースが少なくありません。
物件ごとに表紙やレイアウトが異なるマンスリーレポート、特殊な按分計算、オーナーごとに違う送金明細のフォーマットなど、汎用パッケージにあわせて全てを変えるのが現実的でない領域です。
この「SaaSの外側」をどう設計するかが、賃貸管理の現場をスマートに回すうえで重要な論点になります。
Google WorkspaceとExcelで構成する第4のアプローチ
賃貸管理SaaSとは別の選択肢として、Google Workspace(クラウド管理基盤)・GAS(自動化)・Excel(既存資産の継承)の3要素を組み合わせて構成するアプローチがあります。
この3要素を組み合わせることで、SaaS導入では難しい個別性の高い業務にも柔軟に対応できる仕組みを作れます。
クラウド管理の起点としてのGoogle Workspace
Google Workspaceは、Gmail・Googleドライブ・Googleスプレッドシート・Googleカレンダーなどを統合的に提供するクラウド型のグループウェアです。
物件情報や入居者情報、契約データ、オーナー連絡履歴などを、スプレッドシート上で全担当者が同時に編集・参照できる基盤として機能します。
クラウド型のため複数拠点やテレワークでの利用にも対応しやすく、属人化を解消する基盤として賃貸管理の現場と相性のよい選択肢です。
Google Workspaceは、Googleが提供するクラウド型のグループウェア。Gmail・Googleドライブ・Googleカレンダー・Googleスプレッドシート・Googleドキュメントなどを統合的に利用できる。
GAS(Google Apps Script)による業務自動化
GAS(Google Apps Script)は、Google Workspaceの各サービスをJavaScriptで自動化できるスクリプト基盤です。
家賃の入金消込・契約更新通知・オーナー報告書作成といった定型業務を、スプレッドシート上で動くスクリプトとして自動化できます。
追加サーバーが不要で運用コストを抑えやすく、現場の業務ロジックを柔軟に反映できる点が、賃貸管理の自動化と相性のよい理由です。
Google Apps Script(GAS)は、Google Workspaceの各サービスをJavaScriptで自動化できるスクリプト基盤。サーバー不要で動作し、追加コストもかからない。
Excelをそのまま起点にして共存させる設計
長年運用してきたExcelファイルには、計算ロジックや帳票フォーマット、現場の暗黙知が詰まっています。
これらを廃止せず、計算ロジックや帳票テンプレートをそのまま活かしながら、クラウド側のGoogle Workspaceと接続する設計が、第4のアプローチの大きな特徴です。
Excelで完成度を高めてきた既存資産を捨てずに、属人化やバージョン管理の課題を解消できる仕組みを作っていきます。
SaaS導入とGoogle Workspace+Excel構成の選び分け基準
ここまで紹介してきたSaaSと第4のアプローチについて、自社のどちらに当てはまるかを判断するための基準を整理します。
| 判断軸 | 賃貸管理SaaS(3タイプ) | Google Workspace+Excel構成 |
|---|---|---|
| 業務の標準化度 | 高い(同型物件・大量管理) | 低い(物件ごとに事情が異なる) |
| 物件規模 | 大規模〜中堅 | 中堅〜小規模/個別性重視 |
| 既存Excel資産 | 移行が必要 | そのまま活用可能 |
| 初期投資 | SaaS導入費+月額 | GWS月額+構築費用 |
| カスタマイズ | 製品の範囲内 | 個別性に応じて柔軟に対応 |
表のとおり、業務の標準化度が高く物件規模も大きい管理会社は、SaaS導入による効率化のスケールメリットを享受しやすい構造です。
一方、物件ごとに事情が異なる中堅PMや、既存のExcel資産を活かしたい管理会社では、Google Workspace+Excel構成の方が現実的に機能する場面が多くなります。
どちらが優れているかではなく、自社の状況と目指す業務スタイルに合う方を選ぶという視点が重要です。実際には、両者を組み合わせるハイブリッド構成が現実解になるケースも少なくありません。
Tradivance型「不動産DX伴走」の進め方
私達Tradivanceでは、実際に不動産管理会社さま向けに、Google WorkspaceとExcelを組み合わせたDX伴走サービスを提供しています。
ここでは、実プロジェクトで採用している進め方を4ステップで紹介します。
最初のステップは、現状の業務フローや帳票、Excel資産を整理し、自動化や効率化の対象となる業務を見極めることです。
現場担当者の方々へのヒアリングを通じて、業務の流れに加えて「現場でこうしたい」という暗黙知を可視化するフェーズになります。

現状棚卸しの結果をもとに、クラウド側(Google Workspace)と既存Excelの連携設計を行い、限定範囲で小規模PoCを実施します。
PoCで実際の運用感を確認しながら本格導入前に設計を調整できるため、現場との認識ズレを最小限に抑えられます。

PoCで設計が固まった後は、物件単位・業務単位で段階的にシステムを移行し、並行して現場メンバーへの教育を進めていきます。
いきなり全業務を切り替えるのではなく、現場が慣れていけるペースで移行することで、定着までの混乱を抑えられます。

運用開始後も、現場から出てくる課題や追加要望を継続的に拾い上げ、改善ループを回し続ける伴走フェーズです。
業務環境や法制度の変化にも柔軟に追従しながら、長期的に現場に定着する仕組みを育てていきます。

実際の進め方の参考として、ビル管理DXの実績事例もまとめています。
自社の状況に合う進め方や、Google Workspace+Excel構成での具体的な検討内容については、不動産DX伴走サービスのページからお気軽にご相談ください。
賃貸管理システムのまとめ
まとめ|賃貸管理システムとは?タイプ別の特徴・選び方と中堅管理会社向け自動化の選択肢

本記事では、賃貸管理システムの基本機能から3タイプの特徴、選定で押さえる6つの比較ポイント、導入チェックリスト、そして第4の選択肢までを整理してきました。
自社の状況に合う選択肢を見極め、現場に無理なく定着する形でシステム導入を進めていただければと思います。
本記事の要点
- 3タイプの特徴:仲介一体型/賃貸管理特化型/中小スモール型の業務範囲と料金感の違い
- 選定の6つの比較ポイント:クラウド型/法対応/アップデート頻度/連携/データ移行/サポート体制
- 導入チェックリスト:業務棚卸しからPoC・教育設計まで6ステップで進める
- 第4の選択肢:Google WorkspaceとExcelを組み合わせて個別性の高い現場を支える自動化アプローチ
3タイプを前提にシステム選定を進めつつ、フィットしない領域が出てきたら第4の選択肢で補完するという全体観で考えていくのがおすすめです。
物件ごとの個別性に対応するためには、SaaSとGoogle Workspace+Excel構成の組み合わせも、現実的な選択肢になります。
まずは自社の業務範囲と物件特性を棚卸しすることから始めて、3タイプ+第4の選択肢のどれが合うかを検討してみてください。
もし、現在の利用や今後の事業成長を見越してきちんと検討したい、どれを選んでいいか分からないと言う方は、気軽に弊社に御相談いただければ多くの実績や活用事例と共にご説明させていただきます。



